タイトル
第42巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

約2年以上の経過が追跡可能であった肺腺癌の初回CT画像所見の検討

斉藤 春洋1, 山田 耕三1, 鈴木 理恵1, 尾下 文浩1, 中山 治彦1, 密田 亜希2, 亀田 陽一2, 野田 和正1
神奈川県立がんセンター1呼吸器科, 2病理診断科

目的・方法.外科的に切除された肺腺癌で,過去約2年以上の経過がCT画像で追跡可能であった17症例について,肺癌と認識しうる初回のCT画像所見(初回CT像)および画像の経時的変化に関する検討を行った.結果.初回CT像は,(1)淡い濃度上昇が主体のすりガラス(ground-glass opacity,以下GGO)様陰影,(2)内部に複数の細気管支透亮像を有する浸潤影(bubble-like appearance,以下BLA)様陰影,(3)孤立性小結節(以下nodule)様陰影,(4)瘢痕(以下scar)様陰影,の4所見に分類された.病変陰影への血管の関与,内部の気管支透亮像,胸膜陥入の所見はいずれも,初回CT像に比較して術前CT画像で認められる頻度が増加していた.血管の関与は,初回CT像で,他の所見に比較し最も高頻度に認められた.GGO様陰影では,経過中に内部に濃度上昇域が出現し,その後陰影が増大する症例を認めた.病変陰影の最大径の増大様式は,(1)緩徐な増大,(2)急速な増大,(3)初期は緩徐で後に増大速度が増加,の3様式に分類可能であった.増大様式やdoubling timeの検討により,GGO・BLA様陰影は6~12ケ月,nodule様陰影は2~3ケ月の経過観察期間が適切であると推察された.結論.肺腺癌は初回CT像により,病変径の増大様式やdoubling timeに特徴を認めることが示された.
索引用語:CT, 肺癌, 倍加時間, 経過観察期間

受付日:2002年3月11日
受理日:2002年8月2日

肺癌 42 (6):573─581,2002

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