第42巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
インターネットのセカンドオピニオン請求の質問にみる肺癌患者および家族の訴え
秋葉 直志1, 山下 誠1, 佐藤 修二1, 永田 徹1, 山崎 洋次11東京慈恵会医科大学外科
目的.インターネットを通して受け付けた呼吸器外科関係のセカンドオピニオンを求める質問内容から肺癌患者あるいは家族の心情や訴えを考察した.方法.呼吸器外科,肺癌のウェッブサイト上にセカンドオピニオンの請求を受け付けたところ,1998年5月から2001年2月までの間に386人から430回の質問があり,これを検討・分析した.結果.電子メールの質問が87%を占めた.質問の病名は原発性肺癌が79%を占め,疑いを加えると87%を占めた.男性が女性の1.9倍であった.患者年齢は16歳から90歳で平均が61.7歳,50歳から79歳が82%を占めた.質問者は男性が女性の0.94倍で,患者の子からが60%であった.内容は今後の治療方針に関するものと標準的治療に関するものが最多で59%,標準治療以外の治療方針についてが18%であった.不満が67人(17%)あり,他の病院の情報を尋ねるのが55人(14%)で,その他,説明が不十分,入院あるいは手術までの待ち時間が長いなどがあった.結論.患者や家族の質問のほとんどは治療方針に関するものであり,肺癌などの悪性腫瘍の治療に満足していない.医師と患者・家族とのコミュニケーションは良好ながら,特に子とのコミュニケーションに改善の余地がある.主治医の治療方針や説明に不安があり,専門家の意見を望んでいる.
索引用語:インターネット, セカンドオピニオン, 肺癌, インフォームドコンセント, 本音を語ること
受付日:2001年12月19日
受理日:2002年8月19日
肺癌 42 (6):589─593,2002