タイトル
第42巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

歯肉転移で発症した肺原発Pleomorphic Carcinomaの1症例

南 誠剛1,3, 小牟田 清1, 辻本 正彦2, 浅井 光子1
大阪警察病院1呼吸器科, 2病理科, 3現 国立療養所近畿中央病院内科

背景.肺癌の歯肉への転移は非常に稀である.症例.51歳女性.平成12年3月初旬より左側下顎歯肉腫脹を自覚した.胸部X線にて右中肺野腫瘤影を認めたため当院に紹介された.左側下顎腫瘍が急速に増大してきたため,同年3月29日に摘出術を施行し未分化な転移性癌が認められた.CTガイド下肺生検でも同様の組織が採取された.全身検索を行うも歯肉以外の遠隔転移は認めなかった.以上より肺原発pleomorphic carcinoma(Stage IV,T4N2M1)と診断した.CBDCA+VP-16による化学療法を2クール施行するも効果はなかった.腫瘍は急速に増大し胸水も貯留するようになり6月10日死亡した.結論.歯肉転移は稀ではあるが,その予後は非常に悪く患者のQOLを著しく低下させる.早期に発見して積極的な治療が必要である.
索引用語:歯肉転移, 肺癌, 多形性癌

受付日:2002年3月1日
受理日:2002年6月3日

肺癌 42 (6):595─599,2002

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