タイトル
第42巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

限局性線維性腫瘍(Solitary Fibrous Tumor)の2切除例

平井 文彦1, 加藤 雅人1, 一宮 仁1, 中垣 充1, 鶴田 伸子2, 樋口 和行2
国家公務員共済組合連合会浜の町病院1外科, 2呼吸器内科

背景.限局性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:以下SFT)は主に胸膜より発生する腫瘍である.SFTは一般的には良性腫瘍と考えられているが,一部に術後の再発例などが認められる.今回,臓側胸膜と壁側胸膜より発生したSFTの2切除例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例.症例1は23歳の男性,胸部異常陰影で発見され,胸部CTで右胸腔内の胸壁に接して,一部肋間に突出する腫瘍を認めた.画像上,周囲との境界は明瞭であったため,良性腫瘍との判断で開胸手術を施行した.術中所見では周囲組織を含め腫瘍を摘出できたが,術後に同部位に再発を認めた.2度の再手術を施行し,現在は再発なく経過観察中である.症例2は25歳の男性,胸部異常陰影で発見され,胸部CTで右胸腔内に限局性の腫瘍を認めた.胸腔鏡手術を施行し,健常肺組織とともに腫瘍を切除し摘出した.術後の経過も良好で現在も再発は認めていない.結論.SFTの外科的治療を施行するに際して,その術式,切除範囲などを十分に検討するとともに,十分な術後の経過観察が必要であると考えられた.
索引用語:限局性線維性腫瘍

受付日:2002年3月12日
受理日:2002年7月18日

肺癌 42 (6):607─610,2002

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