 |
第42巻第6号目次 | Japanese/English |
 | Full Text of PDF (280K) Article in Japanese |
─ 症例 ─
末梢性孤立性肺乳頭腫の1例
裴 英洙1, 石川 智啓1, 斉藤 裕11厚生連高岡病院胸部外科
背景．肺乳頭腫は肺の良性腫瘍で多発性と孤立性に分類される．末梢発生の孤立性乳頭腫は稀な症例と考えられる．症例．症例は検診胸部X線写真で左下肺野の結節影を指摘された70歳女性．胸部CT検査で左S10に約3 cmの円形結節影を認めた．術前の血清胎児性癌抗原（carcinoembryonic antigen，以下CEAと略）値は8.3 ng/mlと軽度上昇していた．気管支鏡検査では可視範囲に異常所見はなく，左B10aの擦過細胞診・気管支洗浄液細胞診からは悪性細胞は検出されなかった．胸腔鏡補助下左肺部分切除術を施行した．腫瘍は2.7×2.2×1.4 cm大で乳白色，弾性軟で，組織学的には気管支内腔への乳頭状増殖を認めるmixed squamous and glandular typeの肺乳頭腫であった．術後血清CEA値は2.5 ng/mlと低下した．結論．術前血清CEA高値で術後に低下した末梢発生の孤立性肺乳頭腫例と考えられる．
索引用語：孤立性, 末梢性, 乳頭腫, 胎児性癌抗原（CEA）
受付日：2002年2月4日
受理日：2002年8月5日
肺癌 42 (6)：615─618，2002
