タイトル
第42巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胸部レントゲン像上,樹枝状陰影を呈した肺癌の1例

武田 悦子1, 竹内 幸康2, 古瀬 清行1, 正岡 昭2
大阪中央病院 1内科, 2外科

背景.気管支腔内を発育し,樹枝状陰影を呈する肺癌はまれである.胸部レントゲン像上,樹枝状陰影を呈し,肉腫様変化を伴った肺癌の1例を経験したので報告する.症例.68歳,男性.糖尿病で入院加療中であったが,入院時の胸部レントゲン写真で,右上葉に樹枝状の陰影を認めた.気管支鏡検査では右B1は白苔に覆われた腫瘤で完全閉塞しており,直視下に腫瘤を生検し,低分化腺癌と診断した.その後右側気胸を合併し,胸腔ドレナージを行ったが,右上葉無気肺を呈するに至った.cT2N0M0 stage IBと診断し,右肺上葉切除術を行った.腫瘍はB1入口部に発生し,右上幹にポリープ状に突出しており,末梢側へは気管支腔内を進展し,さらに気管支壁外にも浸潤増殖したと思われた.病理組織は,低分化腺扁平上皮癌であり,一部肉腫様変化を伴っていた.結論.腫瘍が樹枝状陰影を呈したのは,気管支を鋳型にして,成長したためと考えられた.
索引用語:腺扁平上皮癌, 肉腫様成分, 多形癌, 樹枝状陰影, 肺癌肉腫

受付日:2002年4月26日
受理日:2002年8月12日

肺癌 42 (6):625─629,2002

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