タイトル
第42巻第6号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (400K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

肺悪性線維性組織球腫の1例

遠藤 俊治1,4, 中村 憲二1,5, 阪口 全宏1,6, 平本 雄彦2, 中野 喜久男2, 有広 光司3
国立病院呉医療センター1呼吸器外科, 2呼吸器科, 3検査科, 4現 大阪大学大学院医学系研究科臓器制御外科学, 5現 国立療養所愛媛病院呼吸器外科, 6現 大阪府立羽曳野病院外科

背景.肺原発悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma,MFH)は稀な腫瘍である.今回我々は肺MFHの1手術切除例を経験したので報告する.症例.76歳男性.半年前より咳嗽が出現し,胸部レントゲン検査で左肺に腫瘍影を指摘された.胸部CT検査では左肺S6に6 cm大の腫瘍を認めた.気管支擦過細胞診で扁平上皮癌と診断された.以上よりリンパ節郭清を伴う左肺下葉切除術を施行した.腫瘍は10×6.5×5.5 cm大で,病理組織学的にはMFHと診断された.リンパ節転移はなかった.補助化学療法を予定したが,術後熱発が遷延し,また高齢であったことから,しばらく外来で経過観察することとした.術6ヶ月後に右副腎転移を指摘され,右副腎摘出術を施行した.その後1年を経た現在まで再発の兆しはなく健在である.結論.肺MFHは著者らが検索した限り本邦で54例が報告されているに過ぎないが,最近は報告例が増えつつある.予後は不良で,化学療法や放射線療法の有効性については確立した見解をみず,絶対的治癒切除が第一選択となる.
索引用語:悪性線維性組織球腫, 肺腫瘍, 副腎転移

受付日:2001年12月10日
受理日:2002年8月26日

肺癌 42 (6):631─635,2002

ページの先頭へ