第42巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 第28回画像診断セミナー ─
<画像診断セミナー> 肺癌のCT診断:肺結節の存在診断と鑑別診断について
松本 常男11山口大学医学部構造制御病態学(放射線医学)講座
水平断のCTによる画像診断での典型的所見やピットフォールを呈示した.存在診断では,小さな淡い陰影以外に,他に重大な病変があった時(satisfaction-of-search error),また中枢気道内の病変や肺門周囲で大きな血管・縦隔構造に近接した病変が部分容積減少を伴って,false-negative診断となる可能性がある.辺縁平滑で境界明瞭な円形・楕円形結節は良性を示唆するが,石灰化や脂肪濃度の存在,乏しい造影効果の所見は良性の確信度は高める.軽度の凹凸を示す場合は,血管との関連を検討することが悪性結節との鑑別において重要である.一方,辺縁にスリガラス濃度があったり,細かいspiculationのある結節は悪性病変が多いが,同様な所見を示す良性病変の診断に散布巣や気管支血管束の肥厚が役立つ.スリガラス濃度のみを示す結節では,境界の明瞭性やノッチの所見が悪性を示唆する所見として重要である.結節の性状は,既存構造や気腫性変化により影響を受けるため,結節の辺縁や内部構造だけでなく,結節周囲や肺野全体の所見に注意することも重要である.症状の有無など臨床情報も鑑別に役立つ場合がある.
索引用語:高分解能CT, 見落とし, 肺胞上皮置換型, 肺結節, スリガラス濃度
肺癌 42 (7):686─697,2002