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第42巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第17回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<EBMに基づく肺癌診療のPros and Cons> 1.肺癌のX線写真による検診は有効であるか

Pro:佐川 元保1, 杉田 真1, 佐久間 勉1
1金沢医科大学呼吸器外科

RCTは症例対照研究よりエビデンスの質は高いが,RCTであれば真実を反映しているはず,というのは事実の一面のみを捉えている.検診に関わるRCTは実施の困難さからRCTとしての質が低くなりがちであるのはやむを得ないが(例としてMayo Lung ProjectではComplianceが75%,Contaminationが73%と報告されている),低いという事実には目を向ける必要がある.主として1970年代に行われた肺がん検診を評価したRCTは,いずれも肺癌死亡減少に関して有効性を証明しえなかった.1980~90年代に行われた検診を評価した症例対照研究は4つあり,1つでは有効という結果で,2つでは有効性は見いだされず,残りの1つでは有効性を示唆する結果であった.1990年代の検診を評価した症例対照研究が本邦から4つ報告され,うち3つは検診が有効という結果で,残りの1つも有意ではなかったが類似した結果であった.複数の研究で類似した結果が得られていることからも,この結果は現代の検診の評価として信頼できるものと考えられた.これらの結果をもとに,現状における問題点と今後の方向性に関しても論じた.
索引用語:肺がん検診, 有効性, EBM, 無作為化比較試験, 症例対照研究

肺癌 42 (7):741─745,2002

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