第42巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 第17回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─
<EBMに基づく肺癌診療のPros and Cons> 1.肺癌のX線写真による検診は有効であるか
Con:祖父江 友孝11国立がんセンター研究所がん情報研究部
胸部X線検査による肺癌検診は,1970~80年代に欧米にて行われたランダム化比較試験にて肺癌死亡減少効果が確認できなかったことから,欧米のガイドラインでは推奨されていない.わが国では1987年にX線と喀痰細胞診による肺癌検診が老人保健事業に導入されたが,その後,主として症例対照研究により,死亡減少効果を示唆する成績を得ている.しかし,症例対照研究には種々のバイアスの影響を受けやすい研究手法である点などの問題がある.また,年齢調整罹患率と死亡率の次推移をみると,男女とも両者はほぼ平行に推移しており,これまでのところ早期発見による死亡減少効果は全国レベルではほとんど観察されていない.死亡率と罹患率の年次推移に乖離が拡大する傾向がはっきり確認されない限り,有効性が証明されたと明言することは危険である.
索引用語:肺がん, 検診, 胸部X線, 有効性
肺癌 42 (7):746─749,2002