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第42巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第17回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<EBMに基づく肺癌診療のPros and Cons> 3.IB-IIIA期非小細胞癌完全切除後の補助化学療法は行うべきであるか

Pro:田中 文啓1, 和田 洋巳1
1京都大学医学研究科呼吸器外科

目的.完全切除された病理病期IB-IIIA期非小細胞肺癌に対する術後補助化学療法の有効性を検証し,その臨床実地における妥当性を明らかにすること.研究方法.100例以上の非小細胞肺癌患者に対して施行されたすべての術後補助化学療法に関する前向きの無作為化抽出試験の結果を検討した.結果.シスプラチンを含む併用静脈内化学療法を含めてほとんどの化学療法レジメンは完全切除された非小細胞肺癌患者の術後成績改善には寄与しなかった.しかしながら,進行癌に対しては明確な抗腫瘍効果を示さないUFTとUbenimexという2つの経口剤が,術後補助療法として有効かもしれないとの結果がいくつかの臨床試験において示された.このような結果は,術後には,必ずしも抗腫瘍効果にすぐれた薬剤ではなくむしろ術後長期にわたって投与可能な薬剤を投与すべきであることを示している.結論.病理病期IB-IIIA期非小細胞肺癌に対して確立された術後補助療法は存在しないが,UFTとUbenimexといった良好な服薬コンプライアンスが期待しうる薬剤を術後に使用することは,臨床実地上妥当である.
索引用語:非小細胞肺癌, 術後補助療法, 化学療法, 奏功率, 生存率

肺癌 42 (7):765─770,2002

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