タイトル
第42巻第7号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1085K)
Article in Japanese

─ 第17回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<EBMに基づく肺癌診療のPros and Cons> 5.進行非小細胞癌化学療法で,カルボプラチンはシスプラチンと同等の効果があるか

Pro:瀬戸 貴司1
1熊本地域医療センター呼吸器科

1995年に出されたmeta-analysisの結果,Cisplatin(CDDP)を中心とした化学療法により,進行非小細胞肺癌患者のquality of lifeは向上,予後は改善することが示された.しかし,CDDPは強い毒性,輸液の必要性などから,Carboplatin(CBDCA)を化学療法の中心に位置付ける方向にある.今回,その妥当性を比較臨床試験に基づいて奏効率,1年生存率をmeta-analysisで解析した.CDDPとCBDCAに併用される薬剤が統一された8の比較試験での検討では,腫瘍縮小効果は統計学的な有意差をもってCDDPが良かったが,1年生存率はCDDP対CBDCAが38.9%対36.8%で差は認められなかった.併用薬剤を90年以降の新規抗癌剤に限定した6試験の検討では腫瘍縮小効果にも差は認められず,1年生存率はCDDP対CBDCAが37.7%対36.8%であった.新規抗癌剤をkey drugとする治療ではCDDPとCBDCAの生存に対する効果に差はなく,毒性の差を考慮するとCBDCAが好ましいと言ってもよい.
索引用語:シスプラチン, カルボプラチン, 癌化学療法, 進行非小細胞肺癌

肺癌 42 (7):789─795,2002

ページの先頭へ