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第42巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第17回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<EBMに基づく肺癌診療のPros and Cons> 5.進行非小細胞癌化学療法で,カルボプラチンはシスプラチンと同等の効果があるか

Con:塚田 裕子1
1新潟県立がんセンター新潟病院内科

目的.シスプラチン(CDDP)の腎毒性・神経毒性・催吐作用を軽減した誘導体として開発されたカルボプラチン(CBDCA)が,進行非小細胞肺癌化学療法においてCDDPと同等の効果があるか否かを検討する.研究方法.対象が進行非小細胞肺癌で,併用化学療法におけるCDDPとCBDCAの比較がなされている無作為化比較試験のうち,併用薬が共通である7つの試験をとりあげ,両者の奏効率・生存期間・毒性について検討した.結果.毒性の面では悪心・嘔吐がCDDP群で多かったが神経毒性・重篤な腎毒性では差がなく血小板減少はCBDCA群の方で発現頻度が高かった.奏効率はすべての試験でCDDP群が上回っており,生存期間では同等または有意差はないもののCDDP群が長い傾向がみられた.結論.進行非小細胞肺癌の化学療法においてCBDCAがCDDPと同等であるとはいえない.今後のより有効な治療法の開発をめざす臨床試験においては現時点ではCDDPを含む併用療法を基本としていくことが望ましいであろう.しかし実地診療においては患者の腎機能・心機能,簡便性などを考慮して選択するのが適切と考えられる.
索引用語:シスプラチン, カルボプラチン, 非小細胞肺癌, 化学療法

肺癌 42 (7):796─801,2002

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