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第42巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第17回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<EBMに基づく肺癌診療のPros and Cons> 6.小細胞癌のCR例に予防的脳照射は行うべきであるか

Pro:上岡 博1
1岡山大学医学部附属病院第二内科

目的と方法.PCIに関するこれまでの報告をreviewすることにより,小細胞肺癌(SCLC)に対する予防的脳照射(PCI)の有用性を検証する.結果.1970年代より1980年代にかけて多くの比較試験が行われ,PCIによる脳転移の抑制効果が示されたが,生存への有意な寄与を証明した報告はなく,またPCIによる遅発性の神経障害の可能性なども報告され,この時点ではSCLCに対するPCIの意義は確立されたものではなかった.その後Auperinらは,7つの比較試験のメタアナリシスを行うことにより,CR例ではPCIにより脳転移の抑制のみならず,生存率の有意な改善効果(3年生存率:20.7% vs 15.3%,P=0.01)が得られることを証明した.一方,Arriagada,Gregorらの比較試験では,PCI群と非PCI群との間に精神,神経症状,CT scanにおける脳萎縮の発現頻度などに差を認めなかった.結論.導入療法によりCRが得られたSCLC症例に対してPCIは行うべきであるが,今後解決すべき課題としてPCIの線量,分割用式,タイミング,および遅発性の有害反応の検討などが残されている.
索引用語:小細胞肺癌, 予防的脳照射, CR例

肺癌 42 (7):805─811,2002

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