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第43巻第1号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
T3非小細胞肺癌に対する手術成績
市来 嘉伸1, 大崎 敏弘2, 水上 真紀子1, 山下 智弘1, 宗 知子1, 竹之山 光広1, 小山 倫浩1, 杉尾 賢二1, 安元 公正11産業医科大学第2外科, 2北九州市立医療センター
目的．近年，肺癌のTNM分類が改訂され，T3肺癌の中でT3N0M0は病期IIB期に繰り上げられるなど，T3肺癌に対する再評価がなされてきている．今回，T3非小細胞肺癌切除症例における浸潤臓器，リンパ節転移，切除根治度などの背景因子と予後との相関を検討した．方法．1979年8月から2000年4月までの非小細胞肺癌切除851例中，T3非小細胞肺癌107例を対象とした．これらT3非小細胞肺癌切除症例の予後を，病理組織型，T3因子（浸潤臓器），N因子，根治度別に解析した．生存率算出にはKaplan-Meier法を用い，検定はLog-rank testで行った．結果．年齢は33歳から85歳（平均65.0歳），男性97例，女性10例であった．病理組織型は扁平上皮癌56例，腺癌27例，大細胞癌16例，その他8例であった．浸潤臓器の内訳は，胸壁浸潤40例，壁側胸膜浸潤31例，心膜浸潤18例，気管分岐部より2 cm以内12例，その他7例であった．107例の5年生存率は32.7％（MST：672日）であった．浸潤臓器別の予後では有意差はなかった．N因子別の5年生存率は，N0：48.4％（n＝55），N1：27.1％（n＝21），N2：8.1％（n＝31）であり，N因子は有意な予後因子であった．切除根治度別の5年生存率は，完全切除36.6％（n＝87），不完全切除15.8％（n＝20）で有意差を認めた（p＝0.001）．多変量解析でも，N因子，切除根治度は有意な予後因子であった．結論．T3非小細胞肺癌の外科治療においては，N0-1症例であること，完全切除を行うことが手術予後の向上には必要である．
索引用語：T3肺癌, 非小細胞肺癌, 予後, 手術
受付日：2002年9月6日
受理日：2002年10月16日
肺癌 43 (1)：1─6，2003
