タイトル
第43巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

悪性度の高い胸腺腫および胸腺癌に関する臨床病理学的検討

鈴木 隆1, 北見 明彦1, 鈴木 秀一1, 桝田 幹郎1, 増永 敦子2, 光谷 俊幸2
昭和大学藤が丘病院 1胸部心臓血管外科, 2病理

目的.WHO分類の悪性度の高い胸腺腫(type B3)および胸腺癌(type C)の共通点・相違点を臨床の面から明らかにすることを目的とした.方法・対象.過去14年間に入院した両疾患の手術例および非手術例を対象に遡及的手法で検討した.全症例は23例でtype B3が11例,type Cが12例であった.type B3は男女それぞれ8例,3例,type Cは同じく11例,1例であった.発見時の年齢の平均はそれぞれ51歳,54歳で統計学的に有意の差がなかった.type B3の10例とtype Cの8例に手術を行った.少ない症例であったが可能な限り統計学的推定を行った.結果.type B3,type C両群症例を臨床病期からみると各病期をカテゴリー化した解析では両群間に有意の差はなかった.全症例の予後は平均生存日数ではtype B3,type Cで1916日,987日であり,中央値はそれぞれ1673日,466日であって,両群の生存曲線に有意の差を認めた.両群間で腫瘍の切除率に差はなかった.切除症例の予後はtype B3,type Cの平均生存日数がそれぞれ2088日,1410日であり,中央値は1673日,1425日であったが,生存曲線で差がなかった.重症筋無力症の合併はtype Cにはなく,type B3に有意に多かった.結論.両群は性差,臨床病期,切除率で共通の性格をもつ反面,予後,合併疾患の頻度の面で相違がみられた.
索引用語:胸腺癌, 胸腺腫, WHO分類, 正岡の臨床病期分類, 重症筋無力症

受付日:2002年9月2日
受理日:2002年12月11日

肺癌 43 (1):13─16,2003

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