タイトル
第43巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

段階的告知におけるかかりつけ医の役割―胸部異常陰影患者の不安テスト結果から―

谷口 直子1, 大澤 仲昭1, 福田 泰樹2, 芥川 茂3, 後藤 功3, 閔 庚みん3, 花房 俊昭3
1藍野加齢医学研究所, 2藍野病院, 3大阪医科大学第一内科学教室

目的.がん告知におけるかかりつけ医の重要性について,段階的告知の観点から検証する.方法.1999年2月から2001年10月の間に,胸部異常陰影の精査目的で大阪医科大学付属病院を受診した患者82名に不安テスト(state-trait anxiety inventory:STAI)を行い,特性不安,状態不安,さらにその差を不安増強指数として,患者の性別,年齢,付き添いの有無,最終診断(肺癌であったか否か),紹介元(検診群{検診結果通知により直接受診}とかかりつけ医群{かかりつけ医からの紹介受診})について比較検討した.結果.不安増強指数の比較では,性別,年齢,付き添いの有無,最終診断については,有意な差はなかったが,紹介元では,検診群7.6±8.8,かかりつけ医群3.5±8.6で,有意差がみられた(p=0.0358).つまり,病状について,何の説明も受けずに受診した検診群に比べ,かかりつけ医からなんらかの説明を受けているかかりつけ医群の方が,不安の増強が少なかった.結論.かかりつけ医の説明が,がん告知に有効であると言われている段階的告知の一部となり,患者の不安を軽減したものと思われ,かかりつけ医のがん告知に果たす役割は大きいと考えられる.
索引用語:肺癌, 不安, 段階的告知, かかりつけ医

受付日:2002年9月16日
受理日:2003年1月6日

肺癌 43 (2):85─89,2003

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