タイトル
第43巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

原発性肺癌に対する胸腔鏡下肺葉切除症例の検討―聴診三角アプローチ法の妥当性の評価―

大浦 裕之1, 石木 幹人1, 広瀬 正秀1, 武内 健一2, 平野 春人2, 守 義明2, 宇部 健治2, 冨地 信和3
岩手県立中央病院 1呼吸器外科, 2呼吸器科, 3病理診断センター

目的.聴診三角アプローチ法による胸腔鏡下肺葉切除術(VATS lobectomy,以下VL)の成績につきretrospectiveに検討した.対象と方法.平成10年2月から平成14年3月までに,胸腔鏡下(VL群,n=31)または標準開胸下(ST群,n=28)に肺葉切除およびリンパ節郭清を施行した臨床病期I期の末梢型原発性肺癌計59例を対象とした.VL群では,聴診三角上に約6 cmの切開をおいて第4または第5肋間に主操作口を設置し,リンパ節を順次郭清した後,肺動静脈,気管支の順に自動縫合器を用いて切離し肺葉切除を完了した.ST群では,後側方切開開胸下にVL群とほぼ同様の内容の手術を施行した.結果.手術時間はVL群が有意に長い結果となった.術中出血量と縦隔郭清リンパ節個数に関しては両群間に有意差はなかった.術後鎮痛剤使用期間および術後在院日数は各々VL群で有意に短い結果となった.術後の血清CRP値では,第2および第7病日においてVL群で有意に低値を示した.現在(平成14年9月)までVL群では4例,ST群では3例で再発を認めており追加治療後follow中である.結論.聴診三角アプローチによるVLは低侵襲かつ安全な手技と考えられたが,その予後については慎重な観察を要する.
索引用語:胸腔鏡下肺葉切除, 肺癌, 聴診三角アプローチ

受付日:2002年10月15日
受理日:2003年1月6日

肺癌 43 (2):91─98,2003

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