タイトル
第43巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

高齢者における原発性肺癌の外科治療―主に長期予後の面からの検討―

富樫 賢一1, 佐藤 和弘2, 三上 理2, 遠藤 禎郎2
長岡赤十字病院 1呼吸器外科, 2内科

目的.高齢者の原発性肺癌に対する外科治療の有用性を長期予後の面から検討する.方法.1979年から2000年までに手術を施行した原発性肺癌患者1374例を対象とした.これらを年齢層により,65歳以下の若年(Y)群578例,66歳から75歳の中間(M)群629例,76歳以上の高齢(E)群167例の3群に分けて比較検討した.結果.背景因子の比較ではE群で縮小手術比率が高く(16%),Y群で扁平上皮癌比率が低く(25%),E群でI期比率が高かった(73%).術後死亡はE群で高率だったが(3.5%),1997年以降は3群とも0であった.5生率と10生率は全体ではY群66%,53%,M群60%,45%,E群47%,27%で,3群間に有意差を認めたが(p<0.001),生存率の年齢層別調整によりその差はなくなった.非小細胞癌I期ではY群82%,71%,M群70%,54%,E群52%,33%で,3群間には有意差を認めたが(p<0.001),年齢層別調整によりその差はなくなった.II,III期では3群間に差はなかった.結論.高齢者の外科治療後の長期予後は生存曲線上不良であったが,年齢層別調整により他年齢層と遜色なくなるため高齢者でも同等の予後が期待できると思われる.
索引用語:原発性肺癌, 高齢者, 外科治療, 長期予後

受付日:2002年11月5日
受理日:2003年1月20日

肺癌 43 (2):99─104,2003

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