タイトル
第43巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺の異型腺腫様過形成(AAH)のThin-section CT所見と病理所見との対比

鈴木 理恵1, 山田 耕三1, 野田 和正1
1神奈川県立がんセンター呼吸器科

目的.肺の異型腺腫様過形成(AAH)のthin-section CT(TS-CT)上での質的診断の確立を目的に,画像所見と病理所見との比較検討を行った.対象・方法.1996年1月から2002年8月までの術後の病理所見でAAHと診断された23症例26病変(男性9例,女性14例;平均年齢59.5歳)を対象とした.CT撮影は術前1週間以内に施行し,TS-CT画像は1~2 mm厚,1~2 mm間隔の高分解能条件にて再構成し,CT所見と病理所見の比較・検討を行った.CT所見は充実型と含気型に大別し,さらに含気型は肺野条件画像を縦隔条件画像に変換時に完全消失するもの(完全型)と一部残存するもの(不完全型)に分類した.病変の内部構造,辺縁の性状についても検討した.結果.TS-CT画像において,AAHは全例が含気型であり,そのうち完全消失型が23病変(88%),不完全消失型が3病変であった.内部構造は77%が純粋なすりガラス影(GGA)を呈していたが,23%の例では内部に明らかな濃度差を認めるGGAを呈していた.また,胸膜陥入像が35%に,肺血管の関与が85%に,気管支透亮像が38%に認められた.考察.AAHはTS-CT上,従来報告されていた画像所見より多彩な所見を呈しており,画像的にGGAを呈する野口分類でのtype Aやtype B腺癌との鑑別の困難さが示唆され,更なる症例の集積が必要である.
索引用語:異型腺腫様過形成, 薄層スライスCT, すりガラス影

受付日:2002年10月8日
受理日:2003年2月6日

肺癌 43 (2):105─112,2003

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