タイトル
第43巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺腫瘍性病変に対する標準開胸下肺切除術のクリニカルパス

飯島 京太1,2, 中川 健1, 奥村 栄1, 佐藤 之俊1, 土屋 繁裕1,3
1癌研究会附属病院呼吸器外科, 2現 アルテンハイムリハビリテーションクリニック, 3現 土屋病院外科

目的.現在の日本において,原則として医療費は皆保険制度下の出来高払い方式で支払われるため,クリニカルパス(パス)導入による経済的恩恵は望み得ないが,診療体系の標準化や合理化,診療における質の管理などの副次的な効果がパスには期待されている.標準開胸下肺切除術に対するパスを導入し,その合理性と安全性について導入以前の症例と比較検討した.方法.パス導入以前の141例を対照群,導入以降の156例をパス群とし,合理性と安全性に関する項目を両群間で比較した.結果.対照群vs.パス群で示す.術後管理に関しては,輸液日数5.2 vs. 4.5,抗菌薬投与回数5.6 vs. 2.5,血液検体検査回数5.1 vs. 3.2,動脈血液ガス分析回数2.2 vs. 0.1,胸部単純レントゲン撮影枚数9.3 vs. 6.5,心電図モニタリング時間139 vs. 101,酸素投与時間101 vs. 74,全ての評価項目においてパス群が有意に減少していた(全てp<0.0002).また,術後合併症,再入院,総死亡の発生率は両群間に有意差は認めず,手術死亡,在院死亡は両群共に発生しなかった.結論.パスの導入により術後管理の合理化が達成された.また,安全面では従来の術後管理との差は認めなかった.
索引用語:クリニカルパス, 標準開胸, 肺切除術, 術後管理

受付日:2002年11月25日
受理日:2003年2月7日

肺癌 43 (2):113─120,2003

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