タイトル
第43巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

左肺癌縦隔リンパ節郭清法の問題点―縦隔最終リンパ節からみた両側縦隔郭清の意義―

矢野 真1, 小川 伸郎2, 石和 直樹2, 伊藤 秀幸3, 奥脇 英人3, 森田 敬知3, 佐藤 達夫4
1武蔵野赤十字病院呼吸器外科, 2神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器外科, 3国立国際医療センター呼吸器外科, 4東京医科歯科大学大学院機能解剖学

目的.左非小細胞肺癌N2症例を縦隔郭清の方法の違いによる予後の差を検討した.方法.完全切除された非小細胞肺癌N2症例を縦隔最終リンパ節(上縦隔上部リンパ節,気管傍リンパ節,気管前リンパ節,大動脈傍リンパ節)への転移のあるHigh level N2群とそれらに転移のないLow level N2群に分けた.それぞれの群において,左肺癌で両側縦隔リンパ節郭清を行ったBilateral群,側方開胸での標準郭清を行ったStandard群,右肺癌Right群で,予後を比較検討した.結果.High level N2群では郭清法による予後の差はなかった.Low level N2群では,5生率は60.6%(Bilateral群),17.6%(Standard群),55.0%(Right群)で,Standard群で有意に予後が悪かった.結論.Low level N2群ではStandard群の予後が悪かったが,気管周囲の郭清が行われていないため,High level N2群やN3症例が含まれていた可能性がある.両側縦隔リンパ節郭清に診断的意義だけでなく,治療的意義があるか否かは今後の検討が必要である.
索引用語:肺癌, 縦隔リンパ節郭清

受付日:2002年12月3日
受理日:2003年2月10日

肺癌 43 (2):121─124,2003

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