タイトル
第43巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

胸部悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法(RFA)の可能性と問題点

佐野 由文1, 安井 光太郎2, 金澤 右2, 永広 格1, 青江 基1, 伊達 洋至1, 安藤 陽夫1, 平木 祥夫2, 清水 信義1
岡山大学大学院医歯学総合研究科 1腫瘍・胸部外科, 2放射線医学分野

目的.低侵襲,機能温存局所療法の一つとして,ラジオ波焼灼療法(RFA)を胸部悪性腫瘍治療に応用したので報告する.対象.2001年6月より2002年3月までに胸部悪性腫瘍に対してRFAを施行した7例を対象とした.方法.全例CT透視下で,腫瘍内に17G内部冷却式穿刺針を穿刺挿入し焼灼を行った.効果判定は術前後のダイナミックCT,CTガイド下針生検,および腫瘍マーカーの推移によって行った.結果.7症例,14回,22病変に対しRFAを施行した.症例の内訳は,転移性肺腫瘍6例と胸膜播種1例であった.焼灼した腫瘍は最大径8 mmから55 mmであった.合併症としては,疼痛,発熱,気胸,胸水貯留などが認められたが,1例において胸腔ドレーンの留置を要した他はいずれも軽度であった.施術後のダイナミックCTで造影効果が認められるか,同じく施術後の針生検でviableな腫瘍細胞を認めた4病変に対して再焼灼を行った.1例を7ヵ月後他病(肺炎)で失ったが,6例は施術後3ないし9ヵ月後の現在担癌生存中である.結論.胸部腫瘍に対するRFAは,効果判定が困難であり,また長期の効果についてはさらに検討を加える必要があるが,低侵襲で比較的安全に施行可能で,今後胸部腫瘍に対する新たな治療法となりうると思われる.
索引用語:ラジオ波焼灼療法, 胸部悪性腫瘍, 低侵襲治療, CTガイド下肺生検, 肺腫瘍

受付日:2002年11月5日
受理日:2003年2月17日

肺癌 43 (2):131─136,2003

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