タイトル
第43巻第3号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (368K)
Article in Japanese

─ 原著 ─

群馬大学医学部附属病院における肺癌剖検例の検討

郡 隆之1, 佐野 孝昭1, 小山 徹也1, 中島 孝1
1群馬大学第2病理学教室

目的.群馬大学医学部病理学教室での剖検例における肺癌死亡症例のデータベースを作成し経年的変化を調査した.方法.1947年から1999年までの53年間に群馬大学病理学教室で剖検した7729例から肺癌死亡症例559例について検討した.剖検症例を3期(前期:1947~1964年(1934例),中期:1965~1981年(3804例),後期:1982~1999年(2191例))に区切り,各時期別の背景因子(年齢,性別,死亡時に入院していた科,組織型,治療法,他の悪性腫瘍の合併,死亡前診断),全剖検死亡例における固形悪性腫瘍死亡率,全死亡例における肺癌死亡率,固形悪性腫瘍死亡例における肺癌死亡率を遡及的に調査した.結果.統計学的に有意であったものは,肺癌剖検例の増加,死亡前診断率の向上,無治療症例の減少,放射線単独治療率の増加と抗癌剤単独治療率の減少であった.剖検例を用いた研究に必要な症例数を,放射線治療症例は十分に確保できていたが,手術症例では不足していた.結論.当院固有のバイアスが含まれるが,53年間にわたる長期間の肺癌剖検例の検討は,わが国の肺癌の変遷を知る上で貴重なデータである.
索引用語:肺癌, 剖検, 統計

受付日:2003年1月6日
受理日:2003年3月25日

肺癌 43 (3):265─271,2003

ページの先頭へ