タイトル
第43巻第3号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (376K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

気管支鏡下切除を施行した腔内型定型的気管支カルチノイドの1例

三好 立1,2, 奥村 栄1, 佐藤 之俊1,2, 石川 雄一2, 中川 健1
1癌研究会附属病院呼吸器外科, 2癌研究会癌研究所病理部

背景.気管支カルチノイドの治療は肺癌の手術に準じた外科的切除が一般的であるが,中枢発生の腔内型定型的気管支カルチノイドに対しては,気管支鏡下のレーザー焼灼や光線力学的治療,凝固子等を用いた気管支鏡下切除の有用性が報告されている.今回我々も腔内型定型的気管支カルチノイドの1例に対して気管支鏡下切除を施行したので報告する.症例.75歳,男性.主訴は労作時呼吸困難.気管支鏡検査で左上幹入口部に直径約8 mmの広基性病変を認め,生検にて定型的カルチノイドと診断された.外科的切除術を勧めたが本人から手術の同意が得られなかった.そこで,腫瘍残存の可能性がある治療法であることを本人に十分説明し理解してもらった上で,気管支鏡下に腫瘍切除を施行した.まず高周波スネアによる腫瘍切除を行い,さらに遺残した腫瘍を二期的に半導体レーザーにて焼灼した.治療部位はその後,約4年6カ月の経過観察で局所再発を認めない.結論.気管支鏡下切除は今後腔内型定型的気管支カルチノイドの治療法の選択肢の一つとなる可能性が示唆された.
索引用語:腔内型定型的気管支カルチノイド, 気管支鏡, 気管支鏡下切除

受付日:2003年2月3日
受理日:2003年4月2日

肺癌 43 (3):279─283,2003

ページの先頭へ