第43巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
肺癌副腎転移の2切除例
咸 行奎1, 沖津 宏1, 三好 孝典1, 先山 正二1, 近藤 和也1, 門田 康正11徳島大学医学部生体防御腫瘍医学講座病態制御外科学
背景.肺癌副腎転移は剖検例では高頻度に見られるが,治癒切除可能な症例は少なかった.しかし近年画像診断の進歩により転移発見動機が増加し,外科治療の結果長期生存が得られたとの報告例も散見される.今回,我々は肺癌手術後の副腎転移2例に対し摘出術を行ったので報告する.症例1.68歳男性.66歳時,右上葉切除術を施行した.pT1N0M0,stage IAであった.1年3ヵ月後の定期的なCT検査にて左副腎腫瘍があり,転移と考えたが本人の希望で経過観察していた.その後他疾患で開腹術の際,同時に副腎摘出術を行った.病理診断で肺癌の転移と診断された.副腎摘出術後3年9ヵ月経過し,再発を認めていない.症例2.65歳男性.64歳時,右中下葉切除術を施行した.pT1N2M0,stage IIIAであった.1年後,右側腹部痛があり,CTにて右副腎腫瘍を発見した.副腎単独転移と診断,摘出術を施行した.その7ヵ月後,胸部の広範囲に再発,最終的に副腎摘出術から1年3ヵ月後死亡した.結論.副腎単独転移の場合,摘出術によって長期予後が得られることがあり,可能ならば手術も積極的に選択すべきである.
索引用語:副腎転移, 肺癌
受付日:2003年2月28日
受理日:2003年6月4日
肺癌 43 (4):341─344,2003