タイトル
第43巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

薄壁肺嚢胞壁に多発巣状に認められた扁平上皮癌の1手術例

櫻庭 幹1, 村杉 雅秀1, 大貫 恭正1
1東京女子医科大学第1外科

背景.肺嚢胞壁に腫瘤状に癌が発生,あるいは嚢胞壁に接して発生した肺癌の報告は散見されるが,嚢胞壁に沿い多発巣状に進展した肺癌が認められた症例の報告は希である.今回,肺嚢胞壁に沿い多発巣状に進展した扁平上皮癌が認められた症例を経験した.症例.49歳男性,4年前に気胸にて肺部分切除術を施行.この時の病理検査において悪性所見は認めなかった.1999年11月肺炎発症.治療後,肺嚢胞の拡大を認め,気管支鏡下洗浄細胞診にて肺癌と診断された.胸部CTでは明らかな腫瘍影は認められなかったが,右上葉切除,縦隔リンパ節郭清を施行.術後病理検査にて,肺嚢胞内腔は扁平上皮化生が認められ,その中に扁平上皮癌を認めた.術後3ヶ月目には多発性の壁肥厚を伴う嚢胞が認められ,再発と考えられた.結語.再発形式から,画像診断上,癌発生に伴い嚢胞が形成された希な症例と考えられた.
索引用語:肺嚢胞, 原発性肺癌, 扁平上皮癌, 扁平上皮異型性

受付日:2003年4月8日
受理日:2003年6月5日

肺癌 43 (4):345─349,2003

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