タイトル
第43巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

肺癌手術における心肺機能評価

三好 新一郎1
1獨協医科大学胸部外科

1994年の本邦における肺癌手術死亡は手術例7099例中1.3%で,うち呼吸器系合併症によるものが51.6%と大半を占めていたことから,呼吸器系合併症を予測するための心肺機能評価についてこれまでの研究をreviewした.1950~1970年代はスパイログラフィーを用いた研究が多数なされ,FEV1,MVVなど閉塞性肺機能障害を表すパラメーターが有用とされた.また,同じ頃一側肺動脈閉塞試験が導入され肺全摘術の適応基準が設定された.1970~1980年代に入ると肺換気血流シンチグラフィーや区域数・亜区域数を用いて術後の肺機能諸量を計算にて求めて術後実測値との相関性が検討され,全摘術後,肺葉切除後ともに高い相関性が示された.予測術後FEV1は術後呼吸器系合併症の予測に極めて有用であったが術後死亡の予測は困難であった.1980年代には運動負荷試験中のVO2を測定する方法が導入され,VO2maxやempirical anaerobic thresholdが術後死亡の予測に有用であることが示された.今後は術前心肺リハビリの導入により呼吸器系合併症,合併症死の予防を試みる必要があると思われた.
索引用語:術後呼吸器系合併症, 肺機能, 一側肺動脈閉塞試験, 予測術後肺機能, 運動負荷試験

肺癌 43 (6):675─685,2003

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