タイトル
第43巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

拡大区域切除術における呼吸機能温存効果―トレッドミル運動負荷試験による検討―

原田 洋明1, 西尾 渉1, 岡田 守人1, 阪本 俊彦1, 内野 和哉1, 坪島 顕司1, 松岡 英仁2, 坪田 紀明1
1兵庫県立成人病センター呼吸器外科, 2兵庫県立柏原病院胸部外科

目的.われわれは1992年以来,肺葉切除耐術者における末梢の小型非小細胞肺癌(径2 cm以下)に対して積極的な縮小手術(拡大区域切除)を実施し,本術式が標準手術(葉切除)に比して予後を損なわないこと,肺機能低下の軽微なことを報告してきた.しかしながら呼吸機能温存の評価には安静時における肺気量のみでは不十分と考え,運動負荷時の酸素摂取量を指標とした耐運動能を検討した.対象と方法.縮小手術が施行された拡大区域切除術群の46例と,肺葉切除術群の156例を対象とし,術前と術後2か月目にトレッドミル運動負荷試験による耐運動能の変化を比較した.結果.拡大区域切除術は術後,術前値の87.2±0.2%を維持したのに対し,肺葉切除は78.8±0.1%に低下した(p<0.0001).担癌肺葉別の検討でも拡大区域切除術は有意に良好な術後耐運動能を保持した.結論.拡大区域切除術は術後の耐運動能に与える影響が葉切除にくらべて軽微な術式であることが判明した.
索引用語:肺切除, 縮小手術, 運動負荷試験, 最大酸素摂取量, 拡大区域切除術

受付日:2003年3月14日
受理日:2003年7月28日

肺癌 43 (6):705─710,2003

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