タイトル
第43巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺癌手術時に発見された部分肺静脈還流異常の1例

秋山 博彦1, 岡田 大輔1, 榎本 豊1, 西村 仁志1
1埼玉県立がんセンター胸部外科

背景.肺癌手術時に発見された部分肺静脈還流異常の報告例はまれである.症例.症例は76歳の女性で前医にて胸部異常影を発見され,肺腺癌と肺結核症の診断で当センターに紹介された.術前検査ではシャント性疾患を疑う所見はなかった.右肺上葉切除術と縦隔リンパ節郭清(ND2a)を計画して手術を行ったが,手術中に上葉肺静脈と中葉静脈の一部(V4)が奇静脈に還流する部分肺静脈還流異常を発見した.術式は予定通り安全に施行でき,また,手術後の経過も特に問題はなかった.術後に施行した肺動脈造影検査では,心房中隔欠損症や対側の肺静脈還流異常は認めなかった.結論.肺癌手術時に発見される部分肺静脈還流異常はまれであるが,このような肺血管の還流異常,走行異常等を念頭に置くことが,肺切除に関する術式の決定,安全な手術および術後管理に重要である.
索引用語:部分肺静脈還流異常, 肺癌, 肺切除

受付日:2003年1月27日
受理日:2003年6月13日

肺癌 43 (6):711─714,2003

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