タイトル
第43巻第6号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (102K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

気管支鏡下擦過細胞診で確定診断されたアミラーゼ産生肺癌の1例

宇野 友康1, 望月 博史1, 岡田 恒人1, 吉澤 弘久2, 鈴木 栄一3, 下条 文武2
1山形県鶴岡市立荘内病院呼吸器内科, 2新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座呼吸器内科学分野, 3新潟大学医学部附属病院総合診療部

背景.アミラーゼ高値を示す悪性腫瘍は,肺癌,悪性リンパ腫,子宮癌などでみられる.肺癌においては,アミラーゼを産生する肺癌は比較的頻度が低いとされている.症例.症例は,76歳男性.腹痛,背部痛を主訴に受診し,胸部単純写真で両肺野に異常陰影を認め,血清アミラーゼ高値のため精査目的で入院.急性膵炎が疑われたが,膵,唾液腺疾患を示唆する所見はみられなかった.気管支鏡下擦過細胞診で,adenocarcinomaを検出し,更に抗ヒト唾液腺アミラーゼ抗体で染色したところ陽性であった.化学療法を行ったが奏効せず,3ヶ月の経過で死亡した.剖検を行い,中分化乳頭状腺癌と診断し,免疫組織化学染色でアミラーゼの局在を再確認した.結論.血清アミラーゼ値の上昇をみた際には,アミラーゼ産生肺癌も鑑別診断として考慮する必要があると考えられた.
索引用語:アミラーゼ産生肺癌, 腺癌, 唾液腺型, 気管支鏡下擦過細胞診, 解剖

受付日:2003年5月2日
受理日:2003年6月20日

肺癌 43 (6):715─719,2003

ページの先頭へ