第43巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
診断後長期経過を観察し得たbenign metastasizing leiomyomaの1例
永島 明1, 川崎 雅之2, 綿屋 洋2, 吉松 隆1, 大崎 敏弘1北九州市立医療センター 1呼吸器外科, 2呼吸器科
背景.いわゆるbenign metastasizing leiomyoma(BML)は稀な疾患であり,また散見される症例報告もその長期の経過を明らかにしたものは少ない.診断後長期に経過を観察し得た症例を経験したので報告する.症例.症例は39歳女性.37歳で子宮筋腫のため単純子宮全摘術を受け,2年後胸部レントゲン写真で肺の多発結節影を指摘された.胸腔鏡下にその一部を摘出し,BMLと診断された.術後6ヵ月間gonadotropin releasing hormone(GnRH)アゴニストである酢酸ブセレリンを投与したが効果なく,肺腫瘍はわずかに増大した.その後無治療で経過観察していたが,ゆっくりではあるが徐々に増大し,新たな腫瘍の発現も認めた.5年後にGnRHアゴニストである酢酸リュープロレリンを6回投与し,肺腫瘍は明らかに縮小を認めた.その後再びわずかに増大傾向を示しているが,診断後6年6ヵ月現在症状なく,無治療にて経過観察中である.結論.閉経前の患者ではGnRHアゴニストはBMLの治療選択肢の1つと思われた.
索引用語:肺平滑筋腫, 子宮筋腫, 転移性肺平滑筋腫, ホルモン治療
受付日:2003年6月27日
受理日:2003年7月16日
肺癌 43 (6):729─733,2003