タイトル
第43巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺と肝に同時多発性に発症し,肝病変の増大にて死亡した類上皮血管内皮腫の1例

谷口 浩和1, 阿保 斉2, 宮沢 秀樹3, 能登 啓文3, 泉 三郎1
富山県立中央病院 1内科, 2放射線科, 3呼吸器外科

背景.類上皮血管内皮腫は,血管内皮由来の比較的稀な腫瘍である.今回我々は,肺肝類上皮血管内皮腫の1例を経験したので報告する.症例.29歳の男性.検診の胸部レントゲン及び胸部CTにて両側肺に多発性の小結節影を認められ,開胸肺生検を施行し,生検組織より類上皮血管内皮腫と診断した.また,肝にも多発結節影が認められ,腹腔鏡下肝生検術を行い,肝に認められた多発結節影も同じ病変であることが確認された.初診から6年4か月後に上腹部痛が出現し,当科を受診.肺病変は初診時に比し若干の増大しか認めなかったが,腹部CTにて肝左葉の腫瘤が増大しているのが認められ,それによる圧迫もしくは浸潤によると考えられる門脈左枝の閉塞を認めた.肝病変に対して経皮肝動脈塞栓術を施行したが,あまり良い効果は得られなかった.その後,腫瘍の増大により黄疸が出現して全身状態が悪化し,初診から6年8か月後に死亡した.結論.肺肝類上皮血管内皮腫と診断後,肺病変はあまり変化しなかったが,肝病変が急速に悪化し死に至った興味深い症例と考えられた.
索引用語:類上皮血管内皮腫, 血管内細気管支肺胞細胞腫瘍, 肺, 肝

受付日:2003年7月7日
受理日:2003年9月5日

肺癌 43 (6):745─749,2003

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