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第43巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第29回画像診断セミナー ─

肺癌の最新MRI診断

大野 良治1, 野上 宗伸1, 東野 貴徳1, 渡辺 裕一1, 竹中 大祐2, 真庭 謙昌3, 里内 美弥子4, 西村 善博4, 大林 千穂5, 吉村 雅裕3, 杉村 和朗1
1神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座放射線医学分野, 2加西市立加西病院放射線科, 神戸大学大学院医学系研究科呼吸循環動態医学講座, 3呼吸循環器外科学分野, 4循環呼吸器病態学分野, 5神戸大学附属病院病理部

1991年のRadiologic Diagnostic Oncology Group(RDOG)の報告以来,肺癌患者におけるMRIの臨床応用は限定された状況においてのみCTに対して相補的に用いられるにとどまってきた.一方,換気・血流シンチに代表される肺機能診断法や,2-[fluorine-18]-fluoro-2-deoxy-D-glucoseによるポジトロンエミッショントモグラフィー(FDG-PET)に代表されるPET検査においては腫瘍の代謝を画像化する新たな画像診断法として脚光を浴びている.しかし,近年のMR装置や撮像法の進歩及び各種造影剤の併用により肺癌患者のMRI診断における形態的,機能的評価能は飛躍的に進歩し,より正確且つ定量的評価を可能とし,各種画像診断法の代替として潜在的に応用されうるものになりつつある.本稿においては肺癌のMRI診断について,(1)肺腫瘤の質的診断,(2)肺癌と二次変化の鑑別診断,(3)縦隔浸潤診断,(4)胸壁浸潤診断,(5)リンパ節転移診断,(6)遠隔転移診断,及び(7)肺癌におけるMRIを用いた肺機能診断に関して最新の知見を踏まえて述べる.肺癌におけるMRIの臨床応用及び研究に関しては,様々な技術的問題点があるものの,様々な分野での研究が進むことにより急速に進歩する可能性を秘めており,近い将来MRIは肺癌診断の重要な一翼を担うものになると信ずる.
索引用語:MRI, 肺, 肺癌, 病期診断, 孤立性肺腫瘤

肺癌 43 (7):818─825,2003

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