第43巻第7号目次 | Japanese/English |
Full Text of PDF (63K) Article in Japanese |
─ 第18回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─
<セッション2> 肺小細胞がんにおける塩酸イリノテカンの位置づけ
野田 和正11神奈川県立がんセンター呼吸器科
イリノテカンは小細胞肺がんに対し単剤でもシスプラチンとの併用でもきわめて有効である.JCOGでは進展型小細胞肺がんに対し,イリノテカン+シスプラチンを4週ごとに4コース投与するIP療法はエトポシド+シスプラチンを3週毎に4コース投与するEP療法を比較し,IP療法で有意に生存が改善した.今回のEP療法の結果はこれまでの多くの報告と遜色ないものであった.EP療法では骨髄抑制が有意に多かったのに比べて,IP療法では重篤な下痢が有意に多く,特に治療の最初のコースに多く見られた.このIP療法ではイリノテカンの第8日目または15日目投与が1/3の例でスキップされており,これがイリノテカンのdose-intensityを低下させていた.しかしそれでもなお,IP療法はPS良好の進展型小細胞肺がんに対する新たな標準的治療となり得ると考えられる.今回の結果を確認するために欧米で3つの第III相試験が行われている.イリノテカンの重篤な毒性を回避するためには,UGT1A1の遺伝子多型を測定することにより,イリノテカンのtailor-made治療が可能となろう.
索引用語:イリノテカン, シスプラチン, エトポシド, 小細胞肺がん, UGT1A1遺伝子多型
肺癌 43 (7):844─849,2003