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第43巻第7号目次 Japanese/English

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─ 第18回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<セッション2> 塩酸イリノテカン併用療法による完全寛解例

工藤 新三1, 吉村 成央1
1大阪市立大学医学部呼吸器内科

塩酸イリノテカンを含む併用療法による完全寛解complete response(CR)例を2例報告した.1例は47歳の肺腺癌の女性でcT4N3M0で,シスプラチン+イリノテカン併用療法4コースによりCRとなり2年1か月後も無再発生存中である.他の1例は51歳の進展型小細胞肺癌の男性cT2N2M1で,シスプラチン+イリノテカン+エトポシドの併用療法4コースによりCRとなり予防的脳症照射を加え3年7か月後も無再発生存中である.進行非小細胞肺癌のシスプラチン+イリノテカンによるCR率は1.6%であり,他のプラチナ+新規抗癌剤による治療も含め10%の2生率が得られるようになっている.進展型小細胞肺癌のイリノテカンを含む併用療法によりCR率は10~20%であり,2生率は20%前後,3年生存率も10%近い値になった.まだ少数ではあるが進行肺癌の中に化学療法によるCR及び長期生存が認められつつある.今後,分子標的薬剤などを含む新しい治療薬の導入により更なる治療成績の向上が期待される.
索引用語:イリノテカン, 完全寛解, 進行肺癌

肺癌 43 (7):850─856,2003

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