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第43巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第18回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<セッション5> 非小細胞肺癌に対するビノレルビン,ドセタキセル,シスプラチン3剤併用術前化学療法

平良 修1, 三浦 弘之1, 平栗 俊介1, 木村 雅一1, 加藤 治文2
1東京医科大学八王子医療センター胸部外科, 2東京医科大学外科第1講座

目的.非小細胞肺癌(NSCLC)の治療の中心は外科療法であるが,その成績はIA期を除き不良である.術後補助療法の有用性は見出されておらず,術前化学療法に期待が集まり,比較試験の結果が注目されている.我々は術前化療を念頭に,NSCLCに対し新規抗癌剤のビノレルビン(VNR)とドセタキセル(TXT)2剤にシスプラチン(CDDP)を併用した3剤化学療法を行い,奏効率と安全性を明らかにするためのpilot studyを行った.方法および結果.対象は切除不能33例と切除可能(術前化療:IC)25例,組織型は腺癌24例,扁平上皮癌28例,大細胞癌6例,臨床病期はIIA 3例,IIB 8例,IIIA 14例,IIIB 18例,IV15例,IC例の組織型はAd.9,Sq.13,La.3,病期IIA3,IIB7,IIIA12,IIIB3であった.投与量およびスケジュールはVNR 25 mg/m2 day 1,TXT 60 mg/m2 day 2,CDDPは副作用の軽減をはかるため80 mg/m2をday 2から5日間に分割投与(25 mg/日を4日間,day 6に残量を投与)した.全体の奏効率は46.6%(CR4,PR23),化療数は合計104コース(平均1.8),術前化療25例中14例にdown-stagingが得られ,20例が完全切除された.切除例は原発巣と隔清されたリンパ節の治療効果を病理組織学的に比較検討した.組織学的治療効果はEf.3が10%,Ef.2が40%に認められた.しかし,化療後リンパ節転移が消退した12例中4例は組織学的に癌がリンパ節内に遺残していた.不能33例の生存期間中央値は6.4ヵ月,1年生存率は31.2%,2年生存率13.4%,術前化療25例の1年,2年生存率は各々95.2%,67.9%であった.主な血液毒性は白血球減少で,Grade 3/4が93.0%に認められたがG-CSFで改善した.非血液毒性は嘔気と嘔吐でGrade 3が各々28.1%,24.6%に認められ,制吐剤,補液で回復した.腎毒性は軽微であった.結論.VNR,TXT,CDDPの3剤は70歳未満のgood PS例は容認性であり,術前化療として有用であった.
索引用語:術前化学療法, 3剤併用療法, 非小細胞肺癌, 手術

肺癌 43 (7):882─893,2003

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