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第43巻第7号目次 Japanese/English

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─ 第18回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<セッション10> ゲフィチニブによる急性肺障害・間質性肺炎―専門家会議最終報告

吉村 明修1, 弦間 昭彦1, 工藤 翔二1
1日本医科大学第4内科

目的.ゲフィチニブによる急性肺障害・間質性肺炎(interstitial lung disease:ILD)に関する専門家会議最終報告を概説した.方法.ゲフィチニブによるILDと診断された152例における臨床的特徴,ILD発症後の予後因子およびCT画像・病理所見について検討した.結果.ILDの発症率は約1.9%,死亡率は約0.6%と推定され,いずれも海外の報告の6倍であった.投与後4週までの早期発症例が多かったが,時間経過とともに早期発症例の減少傾向が認められた.早期発症例の臨床的特徴は,急激な臨床経過と高いに死亡率であった.ILD発症後の予後因子は,男性,扁平上皮癌,特発性肺線維症などの間質性肺炎,PS2以上であった.胸部CTによるILDの画像パターンは他の薬剤による肺障害と同様であった.基本的に死亡例の病理所見はびまん性肺胞傷害(Diffuse Alveolar Damage,DAD)であった.結論.ILD発症後の最も有意な危険因子は特発性肺線維症・間質性肺炎であり,本剤の投与に際しては注意を要する.ILD発症率,危険因子,そのメカニズムを明らかにするためには,今後プロスペクティブな調査が必要である.
索引用語:ゲフィチニブ, 急性肺障害・間質性肺炎, 危険因子, 特発性肺線維症, 間質性肺炎

肺癌 43 (7):927─932,2003

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