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第43巻第7号目次 Japanese/English

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─ 第18回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

<セッション14> 肺癌術後癌遺残,再発例に対するパクリタキセルの著効例

小田 誠1, 谷内 毅1, 田村 昌也1, 渡邊 剛1
1金沢大学心肺・総合外科

目的.最近4年間に,非小細胞肺癌術後再発20例および術後癌遺残2例の計22例に対してパクリタキセルを用いた化学療法を施行した.このうちComplete Response(CR)が得られた2例を呈示する.症例1.69歳,男性.右腺癌(IA期)に対し手術を施行した.胸腔内再発を来し,シスプラチン+ビンデシンを3コース施行するも不変(NC)であった.再手術にて,多発癌と診断された.その後左肺に多発転移巣を認めたため,カルボプラチン+パクリタキセルを4コース施行し,転移巣はほぼ消失した.パクリタキセル隔週投与を計7コース施行し,現在再発の徴候は認めていない.症例2.50歳,女性.胸膜播種を伴う右S10の腫瘍に対して,手術(非完全切除)を施行した.中分化型腺癌(pT4N0M1,IV期)と診断された.カルボプラチン+パクリタキセルを3コース施行したが術後遺残した肺転移巣はNCであったため,パクリタキセル隔週投与を開始した.20カ月後CRが得られ,計25コース終了時点で一旦化学療法を中止した.現在無再発生存中である.結論.非小細胞肺癌に対するパクリタキセルを用いた化学療法は,術後再発例や癌遺残例に対しても治療の一選択肢となり得ると考えられた.
索引用語:パクリタキセル, 非小細胞肺癌, 化学療法

肺癌 43 (7):961─966,2003

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