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第43巻第7号目次 Japanese/English

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─ 第19回肺癌集検セミナー ─

胸部CT検診専用ファントムによる精度管理

村松 禎久1
1国立がんセンター東病院放射線部

目的.現在までに,胸部CT検診の実施に対する利益が不利益を上回ることを示す科学的根拠は得られていない.ターゲットを捉える画質と線量のバランスは,特に重要となる.本報告では,胸部CT検診専用ファントムについて概説する.また,ファントムの活用例を提示し,その有効性について述べる.方法.本ファントムシステム(LSCT-001:Kyoto-kagaku)は,胸部ファントムとリニアリティファントムから構成される.挙上位をとる胸部ファントムには,模擬肺と模擬腫瘤が封入されている.模擬腫瘤は,模擬肺に対し,ΔCT=100 HU(12-4 mmφ)と270 HU(10-2 mmφ)である.ファントムの中心軸に線量測定用ホールが空いている.リニアリティファントムは直径200 mmφ,高さ100 mmで,8種類のロッドが封入されている.本ファントムを使用し,システム間における濃度曲線の規格化およびスキャン条件の最適化について,胸部CT検診の標準的条件を中心に実験を行った.結果.レーザプリンタのLUT(look up table)の調整により,2機種の濃度曲線はほぼ一致した.呼吸停止時間(17 s)と線量が同等(2.5 mGy)のスキャン条件下において,各CT装置により最小識別能は変化した.結論.本ファントムの利用により,各CT装置における最適なスキャン条件を客観的に評価することが可能である.
索引用語:CT検診, 肺がん, 品質管理, ファントム

肺癌 43 (7):1006─1012,2003

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