第43巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 第19回肺癌集検セミナー ─
分子生物学の肺癌検診への応用
平野 隆11東京医科大学外科学第1講座
ヒトゲノム塩基配列の概要が明らかにされたことにより遺伝子・蛋白質の双方向から網羅的解析が行われようとしている.このような戦略に基づく解析は極めて癌特異的な分子の検出・同定を可能にし,今までの腫瘍マーカーの概念を越えたEarly detectionを可能にするバイオマーカーの存在を予見させる.理想的にはバイオマーカーとなりうる候補分子とは限られた正常組織に分布し,正常組織では発現量が少なく,癌組織に極めて高発現する分子で,しかも腫瘍細胞が分泌し血中・尿中などで検出可能な分子と考えられる.このような分子の探索が現在勢力的に進められようとしている.本稿では筆者らが多少関与している肺癌のプロテオーム(proteome)解析を中心に,検診に応用することを目標にした新しいバイオマーカー探索の現況について言及する.
索引用語:肺癌の早期発見, プロテオミクス, 新しいバイオマーカー, 肺癌検診
肺癌 43 (7):1028─1032,2003