タイトル
第44巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

放射線肺炎における血清KL-6,SP-Dの有用性の検討

雑賀 良典1,2, 土井 健司1,2, 三崎 敏正1,3, 辰巳 智章1, 小森 剛1, 楢林 勇1
1大阪医科大学放射線科, 2現 京阪奈病院放射線科, 3現 枚方市民病院放射線科

目的・方法.大阪医科大学放射線科における肺癌を中心とする胸部への放射線治療施行症例に対して血清KL-6,SP-Dを測定し,同時期に施行した胸部単純写真,胸部CTと比較し,放射線肺炎における血清KL-6,SP-Dの有用性について検討した.結果.放射線肺炎の診断における血清KL-6,SP-Dのsensitivityはそれぞれ68.2%,70.0%,specificityは86.6%,80.0%,accuracyは82.0%,77.8%であった.病変の範囲,活動性と血清KL-6値の関係については,照射野外に及ぶものは照射野内に限局するものより高値を呈し,陳旧性のものは活動性のものより低値を呈する傾向があった.経時的に血清KL-6,SP-Dを測定し得た放射線肺炎発生例についての検討では,KL-6は画像上の発見より遅れて上昇する傾向があったが,SP-Dはそれ以前に上昇するものが多かった.また,発生例における照射前と照射直後の値の比較では,SP-Dで有意な上昇が見られた.結論.血清KL-6,SP-Dともに,放射線肺炎の診断における感度,特異度は満足のいくものであった.血清KL-6は病変の範囲,活動性と相関が見られた.血清SP-Dは早期発見の一助となり得ることが示唆された.
索引用語:血清KL-6, 血清SP-D, 放射線肺炎, 放射線治療, 肺癌

受付日:2003年2月20日
受理日:2003年11月27日

肺癌 44 (1):11─17,2004

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