タイトル
第44巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

アミラーゼ産生小細胞肺癌の1症例

南 誠剛1, 山本 暁2, 安宅 信二1, 鈴木 真優美1, 小河原 光正1, 河原 正明1
国立療養所近畿中央病院 1内科, 2病理科

背景.アミラーゼ産生肺癌の組織型の多くは腺癌であり,小細胞癌の報告は少ない.アミラーゼ産生小細胞肺癌の1例を経験したので報告する.症例.62歳男性.2001年2月より小細胞肺癌に対して,cisplatinとetoposideによる化学療法1コースと胸部放射線療法との同時併用療法に続いて,cisplatinとirinotecanによる化学療法を3コース施行した.治療効果はCRだったため,2001年5月に予防的全脳照射も行った.その後,脳転移および右副腎転移が認められて再発を確認した.2002年11月に脳転移に対して脳転移巣摘出術と全脳照射を施行された.再発に対してアムルビシン単剤による化学療法を施行した.化学療法施行前の血清および尿中アミラーゼ値は各々異常高値を呈しており,唾液腺型アミラーゼが優位であった.アムルビシンによる化学療法4コースにより右副腎転移巣の縮小およびProGRPの低下を認め,血清アミラーゼ値も低下していった.気管支鏡下肺生検検体は免疫組織学的に抗アミラーゼ抗体に陽性であり,肺癌組織からのアミラーゼの産生性が認められた.結論.免疫組織学的検索にてアミラーゼ産生性を確認できたアミラーゼ産生小細胞肺癌の1例を経験した.
索引用語:小細胞癌, アミラーゼ産生肺癌

受付日:2003年10月2日
受理日:2003年12月1日

肺癌 44 (1):37─41,2004

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