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第44巻第1号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
多発した良性限局性胸膜線維腫の1例
中野 淳1,2, 吉澤 潔3, 森田 純二1, 三浦 一真1, 荻野 哲朗4, 瀬津 弘順5高松赤十字病院 1外科, 3呼吸器外科, 4病理部, 2香川大学医学部第二外科, 5徳島文理大学薬学部機能形態学教室
背景．限局性胸膜線維腫（localized fibrous tumor of the pleura；以下LFTP）の多発症例は世界的にも報告が少ない．今回我々は同側胸腔内に多発した1症例を経験した．症例．患者は54歳女性，検診時の胸部X線写真にて，右下肺野に類円形の異常陰影を指摘された．胸部CTにて右胸膜腫瘍を疑われ，CTガイド下穿刺吸引細胞診が行われた．この結果Class IIIのため確定診断できず，胸腔鏡下摘出術が行われた．胸腔内には，長径5 cm大の有茎性肺外腫瘍が右横隔膜上に存在し，近傍の壁側胸膜にも1 cm大の腫瘤が2個認められた．術後，病理組織学的に検索した結果，良性のLFTPと診断された．結論．自験例のような多発したLFTPの報告は稀であり，その多発原因は未だ不明である．一方で良性のLFTPと診断され根治術が施行されたうちの数％に再発が報告されており，術後長期の経過観察が必要と考えられる．
索引用語：多発性限局性胸膜線維腫, CTガイド下穿刺吸引細胞診, 胸腔鏡下摘出術
受付日：2003年10月20日
受理日：2004年1月21日
肺癌 44 (1)：55─59，2004
