タイトル
第44巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

原発不明肺門・縦隔リンパ節癌の2手術例

永島 明1, 中川 誠1, 吉松 隆1
1北九州市立医療センター呼吸器外科

背景.原発不明の縦隔あるいは肺門リンパ節転移癌は稀な病態であり,症例報告が散見されるにすぎない.したがって,その病因論,治療,予後など不明な点が多い.我々は2例の切除症例を経験したので報告する.症例.症例1は73歳,男性.右上縦隔の腫瘍を摘出し,術中迅速病理組織診断にて癌のリンパ節転移と判断し,さらに縦隔リンパ節郭清を施行した.術後病理診断は低分化扁平上皮癌のリンパ節転移であった.術後の検索でも,原発巣の存在は確認できなかった.縦隔に放射線治療を行い,術後6年経過したが原発癌の顕性化もなく,無再発生存中である.症例2は54歳,男性.左肺門部腫瘍の切除を行い,術中迅速病理診断にて扁平上皮癌のリンパ節転移と診断した.左上葉切除,縦隔リンパ節郭清を行ったが,切除した上葉に原発巣を認めず,郭清した他の肺門・縦隔リンパ節に転移は認めなかった.その後の検索でも原発巣は不明であり,術後7ヵ月現在,原発癌の顕性化もなく,無再発生存中である.結論.原発不明の縦隔リンパ節あるいは肺門リンパ節癌は完全切除が可能であれば長期予後が期待し得る.
索引用語:原発不明癌, 縦隔リンパ節転移, 肺門リンパ節転移, 扁平上皮癌, T0肺癌

受付日:2003年12月1日
受理日:2004年2月9日

肺癌 44 (2):103─106,2004

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