タイトル
第44巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

蜂窩肺内に発生した非腫瘤型肺腺癌の1手術例

竹内 幸康1, 明石 章則1, 大隈 和英1, 小田 知文1, 松田 良信2, 山口 宏茂2
宝塚市立病院 1呼吸器外科, 2呼吸器科

背景.腫瘤陰影を呈さない肺癌は,注意深い観察にもかかわらず早期発見が困難なことがある.症例.患者は68歳の男性で,1年前からの右肺下葉の蜂窩肺像と新たに出現した血痰を主訴に当院を受診した.胸部単純X線写真で右下肺野に淡いスリガラス影を認め,また胸部CTでは右下葉背側に蜂窩肺像を認めた.喀痰細胞診および同部の経気管支肺生検で腺癌と診断し,右肺下葉切除術を施行した.肉眼的には下葉に蜂窩肺領域を認めたが,明瞭な腫瘤は形成していなかった.組織像では,癌細胞が間質性肺炎内の小嚢胞壁に沿って増殖し,さらに嚢胞内腔に乳頭状に突出しており,乳頭型腺癌と診断した.結論.蜂窩肺症例では,腫瘤陰影を形成しなくとも肺癌が存在することがあり,その早期診断には十分留意する必要がある.
索引用語:肺腺癌, 間質性肺炎, 蜂窩肺

受付日:2003年12月4日
受理日:2004年3月31日

肺癌 44 (3):159─162,2004

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