タイトル
第44巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

原発性肺癌との鑑別が困難であった胃癌,大腸癌の異時性肺転移の1例

鈴木 仁之1, 徳井 俊也1, 今井 直幸2, 阿部 知司2, 原 徹2, 渡邉 篤2
安城更生病院 1胸部外科, 2呼吸器内科

背景.胃癌,大腸癌術後に異時性肺転移を来し,原発性肺癌との鑑別が困難であった症例を経験したので報告する.症例.62歳女性,胃癌,大腸癌に対して胃亜全摘術+右半結腸切除術+胆嚢摘出術が施行されていた.術前の胸部CT所見において右S2に径5 mmの結節影を認めていたが,そのまま経過観察となっていた.術後1年半の胸部CT所見において右S2の結節影には変化がなかったが,新たに左S1+2に陰影を認めた.右S2の結節影は炎症性変化と判断し,左S1+2の陰影に対して手術を施行した.術中迅速にて原発性肺癌を否定できず,左上葉切除術+両側リンパ節郭清を施行した.永久標本では組織型は腸型高分化型腺癌で,大腸癌の肺転移と診断された.外来フォロー中のCT所見にて右S2の結節影の増大と,新たに右肺門部に1 cm大の結節を認めたため,右上葉切除術+リンパ節郭清を施行した.永久標本にて胃癌の肺転移と診断された.結論.胃癌,大腸癌の重複癌術後に,異時性に反対側の肺転移を来した症例を経験した.
索引用語:胃癌, 大腸癌, 異時性肺転移

受付日:2003年5月30日
受理日:2004年4月5日

肺癌 44 (3):163─166,2004

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