タイトル
第44巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺がん検診の受診者背景とがん発見率の関係―年齢・性別分布の違いを中心に―

笹野 進1, 鳥居 陽子1, 大貫 恭正2
1東京都多摩がん検診センター呼吸器科, 2東京女子医科大学第1外科

目的.肺がん検診における受診者背景,特に年齢・性別分布とがん発見率の関係について検討した.対象と方法.1998年4月から2002年3月までの5年間に,周辺自治体からの委託により,当施設で実施した胸部X線検査と喀痰細胞診併用による肺がん検診の受診者延べ34137名のうち,受診者数の上位8自治体の受診者31525名を対象とした.全体集計,自治体別の集計を行い,受診者の年齢・性別分布と人口10万対発見率を自治体間で比較した.さらに,受診者の50歳以上の比率,60歳以上の比率,男性の比率,50歳以上・男性の比率,60歳以上・男性の比率を算定し,各値と人口10万対発見率との相関を調べた.結果.がん発見数30,人口10万対発見率95.2,男性24例,女性6例,平均年齢68.2歳であった.受診者の年齢・性別分布は自治体間で一様ではなく,人口10万対発見率にも17.6から250.4までのばらつきがあった.受診者の50歳以上の比率,60歳以上の比率,男性の比率,50歳以上・男性の比率,60歳以上・男性の比率の各値と人口10万対発見率との間に,統計学的に強い正の相関を認めた.結論.肺がん検診のがん発見率に対して,受診者の年齢・性別分布の違いが強い影響を及ぼしていた.
索引用語:肺がん検診, 受診者背景, がん発見率, 胸部X線検査, 喀痰細胞診

受付日:2004年7月1日
受理日:2004年8月16日

肺癌 44 (6):689─693,2004

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