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第44巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
胸腺腫摘出後に発症した重症筋無力症の1例
前田 亮1, 住友 伸一1, 松岡 勝成1, 林 栄一1, 毛受 暁史11日本赤十字社和歌山医療センター呼吸器外科
胸腺腫摘出後に発症した重症筋無力症の1例を経験した．症例．54歳女性．2000年8月，検診時に異常陰影を指摘され，当院呼吸器科を受診した．精査の結果，胸腺腫が疑われたため，10月，当科にて拡大胸腺胸腺腫摘出術を施行した．病理組織診断の結果，WHO分類type B2の胸腺腫で正岡II期であった．2001年12月より，複視，眼瞼下垂を自覚し，抗アセチルコリンレセプター抗体（抗AchR抗体）が術前0.1 nmol/l以下であったが，23.0 nmol/lと高値を示した．神経内科で精査したところ，重症筋無力症と診断された．結論．胸腺腫摘出後12ヶ月以降発症のpost-thymectomy myasthenia gravis（MG）は，胸腺腫の再発が多いことで知られているが，本症例においては全身検索でも再発を認めておらず，また，術前の抗AchR抗体は正常範囲内で，術前より抗AchR抗体の推移を明らかにし得た，示唆に富む経過を呈した症例と思われたので報告する．
索引用語：胸腺腫（thymoma）, 重症筋無力症（myasthenia gravis）, 術後重症筋無力症（post-thymectomy myasthenia gravis）
受付日：2004年4月5日
受理日：2004年8月2日
肺癌 44 (6)：701─703，2004
