タイトル
第44巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌による一側肺全摘後の予測呼吸機能に関する検討

安川 元章1, 中川 勝裕1, 阪口 全宏1, 岩崎 輝夫1, 佐々木 尚子1
1大阪府立呼吸器·・アレルギー医療センター呼吸器外科.

目的.肺癌による一側肺全摘例につき,術前の呼吸器疾患合併例と非合併例にわけ,それぞれの予測呼吸機能と実測値との乖離につき検討する.方法.1990年から2001年までの当院での肺癌全摘例133例中,術後合併症を併発することなしに術後3ヶ月から6ヶ月の間に呼吸機能検査を施行できた33例を対象とした.術前のスパイロメトリーと肺血流シンチグラムから術後の努力肺活量(FVC),1秒量(FEV1.0)の予測値を算出した.術後のFVC,FEV1.0はスパイロメトリーで実測した.呼吸器疾患合併群21例と非合併群12例にわけ,予測残存率と実測残存率をpaired t testにて検定した.結果.呼吸器疾患非合併群ではFVCとFEV1.0において,予測残存率と実測残存率に有意差を認めなかった.一方,呼吸器疾患合併例では予測残存率と実測残存率はFVCでp<0.001,FEV1.0でp=0.0486で,両項目とも実測残存率は予測残存率よりも有意に低値であった.結論.呼吸器疾患合併症例では,実測残存率は予測残存率よりも有意に低値であったことより,術後残存呼吸機能は予測値よりも低下しうると考えられ,注意が必要である.
索引用語:肺癌, 予測呼吸機能, 肺血流シンチグラム

受付日:2004年4月5日
受理日:2004年8月10日

肺癌 44 (6):683─687,2004

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